遺言書の作成サポート

争いになる理由は相続財産の額ではない

遺言書って、よくドラマで遺産争いになっているときに出てきたりして、なんとなくわかっているけど、うちは争うほどの財産はないから関係ない‥ なんて思っていませんか?

実は、相続財産の額が多いから争いになっているのではありません。
最近の家庭裁判所の司法統計資料をもとに、調停など裁判所で争いになった相続案件の金額を見てみましょう。

総数1,000万円以下5,000万円以下1億円以下5億円以下5億円超算定不能
6,857件2,296件2,935件802件524件49件251件
100%33.3%42.8%11.6%7.6%0.7%3.6%

この表の数字を見ると遺産の価額が5,000万円以下が、約76%を占めています。決して相続財産の額が「争族」の原因ではないのです。
逆に言えば、「資産のある方は、生前にきちんと対策を取られている」といえるのではないでしょうか。

その他にも、相続人(親子・兄弟・親類)のあいだで人間関係が良くない場合、遺産分割協議をしていくうちに、昔の嫌な記憶がどんどん蘇ってきて感情的になり、ますますエスカレートして取り返しがつかなくなってしまうこともあります。

相続に関することは、お一人ごとにそのかたの相続があって、誰かと同じということはありません。

・誰が相続人となるのかわからない
・相続人の戸籍など、どこまで集めればいいのかわからない
・ペットがいるが、自分が亡くなった後は誰に面倒を見てもらえばいいかわからない

「相続に不安はあるけど、なにから始めたらいいかわからない」というかたはこの記事をご覧ください。

遺言書は必要なの?

堅苦しく法律上の遺言の定義を述べると、「遺言者の死亡とともに一定の効果を発生させることを目的とする、遺言者が単独で、法律で定められた方式でする、相手方のいない一方的な意思表示」です。

遺言を残すかたにとっては、遺言書を残すことは「残された遺族のため、自分が築いた財産を判断能力のあるうちに、争いなく有意義に活用してもらいたい。」誰もが「自分がいなくなった後に家族が争ってほしくない。」と願うと思います。

遺言がなければ、相続人による「遺産分割協議」を行って遺産の分割を行いますが、遺言があれば遺言書で指定された分割方法が優先されます。

遺言がある場合は、原則として遺言の内容に従って遺産を分割できるため、法定相続人ではないかたに「遺贈」という形で遺産を残すこともできたり、遺産を寄付したり、ペットの面倒を見てもらうこともできます。

遺言を残すと、「遺言書に記載した財産は使えなくなる、処分できなくなる」と思われている方もいらっしゃるのですが、決してそうではありません。

「遺言者はいつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる」(民法:1022条)
「遺言の内容と抵触する 生前処分の行為は、遺言を撤回したものとみなす」(民法:1023条)とあります。

預金や株などの有価証券は常に変動しているものですし、何かの事情で財産を処分しても、遺言書に書いたその部分は初めからなかったということになりますのであまり神経質になる必要はありません。

ただ、相続人が何名かいる場合、「不動産を長男に相続させる」というような遺言書を書いている場合、その不動産を処分してしまって、長男に相続させるものがなくなってしまったような場合は、遺言書を作成しなおした方がいいでしょう。

遺言書の定義で「法律で定められた方式でする」とあるように、せっかくの遺言が要式の不備などで無効となってしまうことがあります。
そのような事態を避けるためにも、遺言書の種類や作成方法など一緒に、近年の法改正もあわせて解説してまいります。

遺言書作成において大切なこと

まず、遺言書は「自分の意思で作成する」ということが肝心です。
「子どもや配偶者に頼まれたから作成する」ということでは、遺言書の作成途中で作成者の意思に迷いが生じてきてしまいます。

ご自身が亡くなったあとに残された家族がどのようになるか、ご自身が本当はどうしたいのか、ということを作成の前にしっかり考えることが大切です。

  • 相続財産はどのようなものがあるのか
  • 誰になにを相続させたいのか

まずこの2点を考えて、整理をされると良いでしょう。

遺言を残せる人

民法では、遺言をするための要件が定められています。

  • 遺言作成時に15歳に達している者。
  • 成年被後見人が遺言をするためには、医師2人以上が「事理を弁識する能力を回復していた」ということを遺言書に付記し、署名・押印しなければならない。

とされています。


※事理を弁識する能力とは、「ある物事の実態やその考えられる結果などについて理解でき、自ら有効な意思表示ができる能力」のことです。

民法は、故人(遺言者)の意思を尊重し重要視しますので、1つの証書に2人の遺言が記載されている「共同遺言書」を禁止しています。

遺言をする必要性が高いかたとは

  • 法定相続人以外に財産を残したい
  • 子どものいないご夫婦
  • 離婚した前妻(夫)との間に子どもがいる
  • 事業承継のため、特定の財産を特定の相続人に承継させたい
  • 相続人かいないため、財産を寄付したい
  • 自分の意思で財産の分配や割合を決めたい

上記に当てはまるかたは、遺言を残す必要性が高いといえます。
遺言がなければ、法定相続人による遺産分割協議により遺産の分割を行います。法定相続人には、被相続人の配偶者・子供・父母や祖父母・兄弟姉妹などが該当します。

この場合、法定相続人ではない長男のお嫁さんや、籍を入れていない内縁の妻は遺産を相続できません。

晩年、身の回りのお世話をしてくれた長男のお嫁さんや、入籍はしていなくとも夫婦として暮らしてきた内縁の妻に財産を残したい、と思っているのでしたら、遺言が必要です。

ご夫婦にお子さんがいない場合は、親が亡くなっていれば、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹とは疎遠になっているし、配偶者にすべて残したいと思ったら、遺言を残してください。

晩年に再婚し、今の奥さんとの間には子供がいないので、将来的には前の妻の子に家を譲りたいのだけど、現在の奥さんには最後まで現在の家で過ごしてほしいと考えているのでしたら、遺言を残してください。

法定相続分とは違った分割をしたいと思うのでしたら、遺言を残す必要があるということです。

遺言があれば、遺言書で指定された分割方法が法定相続分より優先されます。

遺言の方式について

遺言には大きくわけると3つの方式があります

1. 自筆証書遺言

その名が表す通り、遺言書全文を自分で自書する方式です。証人は必要ありません。

自筆証書遺言書には、必ず本文と日付と氏名を自書し押印が必要になります。

相続財産の目録は自筆でなくても構いません。平成31年1月13日より自筆証書遺言の方式の緩和が施行され、財産目録に関しては自書しなくてもよいことになりました。

これまでは、自筆証書遺言のデメリットとして、ご自身が遺言書を紛失してしまったり、遺言書発見者に破棄・隠匿・偽造されてしまうなどがありました。

令和2年7月より「遺言書保管法」が新設され、法務局で遺言書の保管が可能になり、紛失や偽造などのデメリットは解消されました。

遺言書の保管申請は、遺言者本人が、①遺言者の住所②遺言者の本籍地➂遺言者が所有する不動産の所在地、を管轄する法務局対してしなければなりません。

2. 公正証書遺言

証人2人以上の立会いのもと、遺言者が公証人の面前で口述し、それに基づいて公証人が文章にまとめます。遺言者・証人・公証人が署名押印し、公正証書遺言書の原本は公証役場に保管されます。

公正証書遺言書は公証人が記述しますので、遺言者が自書する部分は署名と、ご自身で押印する必要があります。

遺言者の体力が弱っていたり、病気のために手書きが困難となった場合や入院されている場合には、公証人の出張が可能ですので公証人に依頼すれば、遺言書を作成することができます。

その他、家庭裁判所での検認手続を経る必要がないので、相続の開始後、速やかに手続できることもメリットの一つです。

公正証書遺言は、要件の不備で遺言が無効になるおそれはありません。

平成元年以降に作成された公正証書遺言については、公正証書遺言検索システムにより全国の公証役場において、保管されている遺言公正証書の有無などが検索することができるようになりました。

3. 秘密証書遺言

自筆証書遺言と公正証書遺言の中間のようなイメージです。

遺言の存在と内容を秘密にできる遺言方式で、公証人が遺言書の存在証明のみを行います。

証人2人の立会いのもと、公証人の前で遺言書を入れた封書に署名・押印し、遺言書を封印します。秘密証書遺言は自筆の署名と押印がなされていれば、その他の部分は自筆でなくても構いません。

公証役場では、遺言書の内容は秘密のままで確認しませんので、不備があると無効となってしまう恐れがあります。

手続き完了後は、遺言書を封書に入れた状態で持ち帰り、ご自身で保管します。封筒を一度でも開封すると、遺言書は無効となることには注意してください。

遺言者が亡くなったあとに遺言書が発見されないことも多く、相続開始後に家庭裁判所で検認が必要になるなどデメリットも多く、この方式を選ぶ方は少ないようです。

法定相続人と法定相続分とは

法定相続人とは、民法で定められた範囲の中にいる相続人のことをいいます。そして、法定相続人には、亡くなったかたとの関係性によって優先順位が設けられています。
遺産の分割は、遺言書があれば遺言書で指定された分割方法が優先され、遺言書がなければ基本的に法定相続人全員で遺産分割について話し合います。

法定相続分とは、法定相続人の順位ごとに、遺産分割の目安となる割合が設定されており、これを法定相続分といいます。
先順位のかたがすでに亡くなっていたり、もとから相続人がいない場合に後順位のかたが相続人(代襲相続)となります。
同順位の法定相続人が複数いる場合は、その数人でその法定相続分を均等に分けます。
例えば、相続人が配偶者と子ども2人(長男と次男)の場合は、配偶者1/2・長男1/4・次男1/4となります。

スクロールできます
順 位相続人となる人法定相続分
常に相続人配偶者
第一順位直系卑属(ちょっけいひぞく):亡くなったかたの子ども配偶者 1/2・子ども 1/2 
第二順位直系尊属(ちょっけいそんぞく):亡くなった方の父母や祖父母配偶者 2/3・直系尊属 1/3
第三順位亡くなったかたの兄弟姉妹配偶者 3/4・兄弟姉妹 1/4

※配偶者に順位はなく、常に相続人となります。

〈第1順位〉
子どもは、第1順位の相続人となります。(前妻の子を含む)養子は法定血族といい、法律上は血がつながっていることになりますので、実子と同様の扱いとなります。
すでに子どもが死亡していて、そのこども(孫)がいる場合には、孫が相続人(代襲相続人)となります。孫が死亡している場合は、ひ孫がいればひ孫が相続人(再代襲相続人)となり、何代でも代襲できます。

〈第2順位〉
第1順位の相続人(配偶者と子ども)が誰もいない場合は、父母が相続人となり、続いて祖父母が相続人となります。

〈第3順位〉
次に兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹がすでに亡くなっていて、子どもがいる場合は、甥や姪が代襲相続人となります。兄弟姉妹が相続人となる場合、代襲相続は一代限りとなり、再代襲相続は認められていませんので、甥や姪の子は相続人にはなれません。

〈相続放棄をした場合〉
相続放棄をする場合は、相続開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申立てを行います。遺言者の生前には相続放棄できません。
相続放棄をすると、最初から相続人でなかったものとして扱われますので、相続放棄者に子供がいても代襲相続はされません。

法定相続分はあくまで「民法に定められた遺産分割の目安となる割合」のことです。
遺産分割の際にもめてしまい、協議や調停で解決できず審判になった場合には法定相続分に従って遺産を分割することになります。

この割合の分だけ権利があり、主張できるということです。

遺産の分割では、「必ず法定相続分に従って分けなくてはいけない 」というものではありません。あくまで争いになった場合の目安ですので、相続人全員の合意があれば、「一人がすべて相続する」とすることもできます。

まとめ

これから遺言書の作成を考えている方には、相続人や相続財産が多く、手続きが難しくなりそうな場合や、遺言執行者を決めて遺言を確実に実現したいのであれば「公正証書遺言」をお勧めします。
相続人が少なく、相続が複雑でない場合は「自筆証書遺言」をお勧めします。そして、その自筆証書遺言は「遺言書保管制度」を利用して法務局に預けることをお勧めします。

最近は地震などの災害や、事故に巻き込まれたりする不安なニュースもよく耳にします。
遺言を残すのに、早すぎるということはありませんので、思い立ったらすぐに実行してください。「そのうち書けばいいか‥」と先延ばしにしてもいいことは一つもありません。

遺言書や相続のような話は、「不吉だ」とか「自分が亡くなるときのことを考えると怖い」と言って避けてしまうかたもいらっしゃいます。
でも、そうではなくて「最後まで自分らしく生ききる」ために準備をすることは必要なのです。そしてそれが残された遺族のためにもなります。
そのためにまず、相続財産の洗い出しなどしてみてください。昔作った銀行口座など忘れているものはありませんか?利用していないクレジットカードはありませんか?
通帳を確認して携帯電話や固定電話、新聞やNHK、通信販売で毎月定期購入している物などの確認をしてみてください。不要なものは生前に整理や処分をしておくことも残された遺族のためになります。

遺言書はハードルが高いようでしたら、まず「エンディングノート」などを作成してご自分の気持ちを整理してみるのもいいと思います。

当事務所では「最後まで自分らしく生ききる」ためのお手伝いをいたします。
もし、ご不安があればお気軽にご相談ください。ご相談者の気持ちに寄り添い、あなたのための解決方法をご提案いたします。

梅津ひとみ行政書士事務所では、
遺言書作成や相続手続きのサポートを
行っております。

「遺言書を残したい」「相続手続きがわからない」など手続きにお困りでしたらぜひご相談ください。

TEL: 047-347-3284

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営業時間:月〜金 09:00〜18:00(完全予約制)
その他、土日・夜間をご希望の方はご相談ください

行政書士には法律上守秘義務があるので、依頼人の許可なく秘密を第三者に漏らすことはありません。
(行政書士法第12条・第22条1項)

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