自筆証書遺言とは
その名が表す通り、遺言書全文を自分で自書する方式です。証人は必要ありません。作成後は遺言者自身が保管します。作成や修正が容易であり、費用もほとんどかかりませんが、要件を満たさずに無効となったり、紛失や偽造、改ざんなどのリスクがあります。
遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,「検認」を請求しなければなりません。
ただし、自筆証書遺言保管制度を利用していれば、家庭裁判所の検認は不要です。
自筆証書遺言を作成するときに使用する用紙や形式に決まりはありません。縦書きや横書きどちらでも構いませんし、レポート用紙や便箋を利用して作成して構いません。半紙に毛筆で書かれる方もいらっしゃいます。
遺言書は長期間保存されることを想定して、消せるインクのペンやスタンプ式の印鑑などの使用は控えてください。
ただし、「自筆証書遺言書保管制度」を利用される方は、A4の用紙で作成することが定められているので注意が必要です。
1. 民法で定められた自筆証書遺言書の要件
- 遺言書の全文と日付、氏名を自書し押印すること。
- 遺言者本人が、遺言書の本文の全てを自書する。
- 日付は、遺言書を作成した年月日を具体的に記載する。「○月吉日」などとはしない。
- 遺言者が署名する。(住民票の記載どおりに署名する)
- 押印は実印でなくてもよいが実印であれば、遺言書の信用性を高められる。
- 遺言書を封筒に入れ、「遺言書」と記入し、氏名・日付などを記入して遺言書本文に押印したものと同じ印鑑で封印をする。
- 自書によらない財産目録を添付する場合
財産目録は、パソコンで作成した目録と預金通帳や登記事項証明書等のコピーなどを添付することで作成可能です。その場合は各ページに自署による署名と押印が必要になります。
検認とは
遺言書の検認とは、遺言書の保管者または書遺言を発見した相続人が、遺言書を家庭裁判所に提出し、相続人の立ち会いのもと遺言書を開封して内容を確認することをいいます。
検認の申立ては、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に対して行います。
検認の目的
- 相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせる。
- 遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止する。
遺言書の内容の有効・無効を判断する手続きではありません。
自筆証書遺言は発見しても勝手に開封してはいけません。もし検認義務を怠った場合には、「5万円以下の過料」に処される可能性があるので注意しましょう。
もし誤って開封してしまっても、すぐに遺言が無効になるということではありませんので、その場合は家庭裁判所に相談してください。
過料の支払いを恐れて、封がされていたにもかかわらず、封がされていなかったと申告することは後で改ざんを疑われたり、トラブルの原因になるのでやめましょう。
※公正証書遺言または遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言の場合、検認は必要ありません。
では、検認を行わないとどうなるのでしょう。
遺言書の内容をもとに、遺言書の内容に沿った手続きを進める場合には検認済証明書が必要となるため、検認していなければ手続きが進められなくなります。
1. 検認済証明書が必要になる相続手続きとは
- 預貯金の払い戻し
- 預金名義口座の変更
- 不動産の名義変更
- 株式の名義変更
- 車の名義変更
などです。
2. 検認申立に必要な書類と費用
- 申立書
- 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 遺言書1通につき収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手(裁判所に確認)
※どなたが相続人かによって必要な戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本は変わってきます。
検認の申立てがあると、相続人全員に対し裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知が届きます。出席できない事情などがあり、全員がそろわなくても検認手続は行われますが、申立人は必ず出席する必要があります。
検認の日程は、申立てから1カ月~1カ月半後に設定されることが多いようです。
検認期日には、家庭裁判所に行き、申立人・相続人・裁判所の職員がそろったなかで遺言書を開封します。検認手続きで行われることは、遺言書の現状の記録・発見時の状況・保管状況などの聴取などが中心で、所要時間は10分~15分程度です。
検認済証明書(遺言書の原本と裁判官による証明書が綴られて割印されたもの)を受け取って終了となります。
遺言書と検認済証明書は、後の相続手続きに必要ですので大切に保管してください。
検認手続きが済んだら、遺言書の内容に沿って相続手続きを進めていくことになります。
自筆証書遺言書自体は、様式に気を付ければご自身で作成することも可能ですが、遺言者が亡くなった後、遺族に「検認」という多少の負担が残ることになります。
これから遺言書の作成を考えている方には、相続人や相続財産が多く手続きが難しくなりそうな場合や、遺言執行者などを決めて、遺言を確実に実現したいのであれば「公正証書遺言」をお勧めします。
相続人が少なく、相続が複雑でない場合は「自筆証書遺言」をお勧めします。そして、その自筆証書遺言は「遺言書保管制度」を利用して法務局に預けることをお勧めします。

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